2017年12月25日月曜日

クリスマス

クリスマスの日は充実しなきゃって思ってしまう、と娘が言っていました。
そうなのかあ。
私が若い頃は演劇部OB会と称して、仲間と集まり、
チューリップ型のから揚げを作り、
ワインを飲み、夜通し楽しんだものでした。
家族が出来てからは、もっぱら、手巻き寿司とケーキとプレゼント交換?
娘たちが大きくなると、小さなケーキを買ってきて、ぼそぼそ食べる。
そうこの地に越してきてまだ日も浅い頃。
出会ったばかりの友人の声が窓の下でする、もう夜も深い、クリスマスの日でした。
窓を開け2階から見ると人が、3、4・・7人ぐらいか。
「室井さん~」「え?どうしたんですか?」
「キャロリングよ」
と言って、歌いだしたのです。
「きよしこのよる」「もろびとこぞりて」
窓から身を乗り出して、聞いたその歌声は
夜のしじまに美しく、まだその地に慣れないでいた心に響いてきました。
幼い頃、お菓子をもらえるからと、クリスマスに行った教会で見た、
イエスさまの誕生のお芝居。
その歌声に、星のまたたきに誘われてゆく博士たち、馬小屋におられる
イエスさまとマリアさまをしみじみと思いだしたのです。
あ、ケーキ食べる日じゃ、なかったのかも・・。
いや、イエスさまのお誕生日だからケーキを食べてもいいか・・。
と、今年のクリスマスも小さなケーキをぼそぼそ食べています。
メリークリスマス&良いお年を!

クリスマス 夜更けの天(雨)のあたたかし。三紀




2017年11月13日月曜日

神在月

旧暦10月は神無月。
今頃は出雲に神様が集まっていらっしゃる。
出雲大社は神在祭。
昨年の春、まだ桜も蕾の頃に、松江と出雲大社に行きました。
松江では小泉八雲のお家だったところへ。
背の高い机で、目が悪かった八雲は目を机に近づけて物語を書いていたとか。
松江城のお堀のすぐそばの静かな静かなところでした。
そして、出雲大社。
八王子車人形さんたちの奉納にお伴をさせていただき、
琵琶を弾いてきたのですが、
大きな、綱。あたりを包む不思議な空気に心が引き締まりました。
そう、本番の仕込みのため前日暗くなった頃に
出雲大社に着いた時。
人の姿は全くなく、真っ暗な中に張りつめた空気、木々。
そこにおられる神様。
闇の美しさを教えられた気がしたのです。
闇があるから光がある。
日本って美しい。日本の美しいものを残したい。
語っていきたい。
もう一度自分のやるべきことに思いをはせたそんな貴重な時間でした。
桜ももう赤く色づきました。
冬はもうそこ。
1日の中区ブックフェア―、7日のギャラリーR2さんも
無事終わり、そろそろ
また新しい創作をはじめよう。

神送り 彼の地は夜店 出でたるか 三紀

11月19日 糀谷 ギャラリー結 浮舟  14時~ 16時~
11月26日 青葉台 リンデン  浮舟+α 14時
(横田桂子さんとの連・琵琶)

2017年10月12日木曜日

熊野天女座、そして花の窟神社

三重県熊野市に行ってきました。
ミュージシャンの矢吹紫帆さんと谷中鷹光さんが演奏活動をしながら、
創られた、カフェとホールがあります。波田須町の天女座です。
海が一望できるカフェ、百畳のホール。とても素敵な所です。
そこに筑前琵琶があるというので、行ってきました。
5弦の筑前琵琶で、撥もあるというのです。
弦を新しく張り替えたらどんな音がするのだろう。
そして・・張り替えてみたら、とっても素敵な音!!
嬉しかったです。
きっとお二人の音作りにお役にたってくれることでしょう。
お二人の即興演奏をお聴きしたり、紫帆さんのマジックに驚いたり、
私の琵琶を聞いてもらったり、朝陽を見、星を見、波が月に輝くのを見、
突然の雨に泡立つ海を見、
熊野古道を歩き、鬼が城の海際にそびえたつ岩に驚き、
そして、熊野市の駅に近い花の窟神社では偶然にお祭りの日に遭遇。
用事のある紫帆さんとしばし別れ、一人神社に入ると沢山の人が崖の上を眺めている。
すると縄がするすると降りてきて、はやく掴れという声に
あわてて縄を掴むと、そのまま、何処かへ向かっていく。
願いがかなわなくなるから、しっかり掴ってという後ろの方の声に
必死につかんでいくと、そのまま皆で、前の広い広い海岸へ。
高い崖の上から繋がる綱。その崖の下はイザナミノミコトのお墓です。
日本最古の神社なのです。
海岸で長い長い綱に繋がり、上を眺める私たち。
その崖の上は神様。
私たちは神さまとこうして繋がっているのだろうか、
そんなことを感じることができたお祭りでした。

風の暖かい、素朴な、熊野市。
とてもとてもいいところでした。



2017年9月8日金曜日

宇治拾遺集

9月20日、宇治拾遺集を琵琶で語ります。
宇治拾遺集は、13世紀初めに作られたといわれる、説話集です。
197話ある中から、4作選び創作しています。
女性セミナーなので、女性が中心のお話しがいいかな、と。
仏教説話も多いですが、雀報恩の事という、舌切り雀の元の形のようなお話しも。
詐欺?のようなお話し。蛇の女のお話し。奇想天外なものも多いです。
私にとっても初めての宇治拾遺集。
その宇治拾遺集が作られた少し前、平安末期に作られた
梁塵秘抄の今様の歌も入れてみました。
宇治拾遺集のお話しはとても自由な雰囲気がしますが、
やはり仏教の風を感じます。
それは平安末期に人々が歌い聞いたであろう梁塵秘抄の歌と
同じメッセージを感じたのです。

仏は常にいませども うつつならずぞあはれなる
人の音せぬ暁に ほのかに夢に見え給ふ
(梁塵秘抄)

この曲を今回作っている、石橋の下の蛇(くちなは)という作品に入れてみました。
極楽浄土へ導いてもらえるという、菩提講という法華経を学ぶお寺の法会。
そのお寺へ向かう石橋の石を踏み外した若い女、その石の下から現れた蛇が
その若い女の後を追っていくというお話しです。
怖い、けれど、面白くもあります。

写真のお寺は、横浜の南太田というところにあるお寺、常照寺です。
私の生まれた場所に近いお寺ですが、石橋の下の蛇のお話しのお寺もこのようなお寺だったのかなと、感じられるような、ふと引き込まれそうな気持ちになる、お寺。
宇治拾遺集もあっ・・と、引き込まれていくような、そんなお話し集です。




2017年8月12日土曜日

鬼の泉水

軽井沢から浅間山の麓、鬼押し出しを少し行った所の嬬恋村、鬼の泉水に、
KAFE はあります。
8月5日、そのKAFEで、琵琶の夕べ、がありました。
一部に平家物語の語りを。
そして二部はメインの宮沢賢治作 かしわばやしの夜
横田桂子さんのアコーディオン、琵琶、語り、
私の琵琶、語り。
KAFEの前の池にステージをつくり、池に浮かぶのはろうそくに灯。二部になって次第に暗くなり、周りの木々とともに、幻想的な雰囲気に。
かしわばやしの夜は、かしわの木や大王、ふくろう、赤いシャッポの絵描き、お百姓の清作とたくさんの人?たちがにぎやかに月の一夜を彩るお話しです。
大好きなお話しです。
そんなお話しを満月近い頃、たくさんの木々,
泉湧く池、の中、心から楽しんでくださったお客様に聞いて戴けて、とても嬉しかったです。
若いオーナーの山脇宇界さん、紋さんご夫妻、
お母様の晴代さん、
横田さんのご友人の方たちと、
素敵な方たちでいっぱいでした。
楽しい時間を有難うございました!
さあ、九月は琵琶で語る宇治拾遺集が二〇日にあります
浅間山のエネルギーたくさん、いただきました。
がんばります~^^。。


2017年7月2日日曜日

天ケ森ガラス絵館

天ケ森ガラス絵館、それは岩手県遠野市附馬牛町(つきもうし)というところあります。
ガラス絵作家の児玉房子さんのガラス絵が飾られているのです。

児玉さんとの出会いは2003年、京都でした。
そこで、瀬戸圭子さんとガラス絵作家の児玉房子さんに出会いました。
私はまだコンサートを始めたばかり、
情熱だけが取り柄の琵琶語りをしていた、と思います。
瀬戸さんは児玉さんの絵に惚れ込んでいて、
児玉さんの描いた、コスタリカのガラス絵の企画展をしていました。
そこに私が飛び込んだのです。
すぐに2年後、京都思文閣美術館での、ガラス絵展が決まりました。
大きな美術館です。その題は宮沢賢治の作品。
そのために私は宮沢賢治の作品を琵琶で創作することになりました。
そして、遠野の民話、オシラさまの話しも。
駆け出しの私に琵琶で創作をする道に背を押してくれたのはこの二人。
私たち三人は、お互いの存在を励みにしていました。
「あなたは自分が思っているよりもずっといいのよ」
と児玉さんはいつも言ってくれ、たくさんの演奏する機会をくれたのです。

ガラス絵館を遠野につくって2年。
児玉さんは5月に亡くなってしまいました。
先日ガラス絵館の前の広場でお別れの会があり、
琵琶を弾いてきました。
賢治のよだかの星、風の又三郎、おしらさま、祇園精舎。
風が吹き、鳥が鳴く。
誰もがそこに児玉さんがいると信じられる、そんな時間でした。

平和を願い、美しいガラス絵を描き続けた人。
質素で、清らかで笑顔を絶やさなかった人。
皆、児玉さんに励まされたと言っていました。

児玉さん、あなたが私の心に残してくれたものは
とてつもなく大きいのです。
今でも私の耳に児玉さんの声が聞こえてきます。
あなたはとてもいいのよ、がんばって。



2017年6月1日木曜日

もう6月

あっというまに6月ですね

横浜の実家へ行く路の駅で、母校の生徒たちが乗ってきました。
男子校が二つ、共学が二つ、生徒たちが乗ってきます。
制服、もう衣替えをしたのかな。
でも、私たちの頃の制服とは違う。
女の子たちは、かわいいスカートに色とりどりのネクタイ。
私たちの頃、ネクタイはなかったけど、きっとおしゃれで付けているのでしょう。
母校の校風は自由自律でした。

一昨年、90周年の記念式典で、琵琶を弾きました。
本牧の丘にある母校、私たちが居たころは周りがアメリカ人のエリアだったのです。
広い敷地には芝生があり、アメリカの人の家が並び、
黄色いバスが走り・・。
入ってはいけない、のだろうに、密かなデートコース、でもありました。
私も一度だけ入ったことがあります、残念ながらデートではありませんでしたが。
関東大震災の年は校舎を間借りをし、太平洋戦争の横浜大空襲で、
ほとんどの校舎が焼けたそうです。
私たちの頃は繭に包まれたように、平和だったのです。
今もこれからも、平和でいてほしい。ずっとずっと。
繭の中で、成虫になるまでの時を過ごしてほしい。

そういえば、同級生が母校の先生をしているのでした。
元気でがんばっているんだろうなあ。

単衣手に日ながき午後や更衣  三紀

梅雨近き頃
身体に気を付けて過ごしていたいですね。




2017年5月7日日曜日

八重の藤

これは珍しい藤だそうです。
八重の藤 ブドウの房のような藤の花が30センチぐらい伸びています。
この隣には大藤がありましたが、2本とも樹齢400年ぐらいとのこと。

茨城県の笠間稲荷。
義父母のお墓参りに行った帰り道でしたが、検索したら、近くなので、
笠間稲荷へ寄ってきました。
門前町には、いなりずし、お団子、甘酒のソフトクリームと並び、
なんとも風情があります。道の奥には小高い山が見え
そこから、爽やかな風が吹いてくるような気がします。

匂う藤 藤壺の君も かくやあらん   三紀

途中、新しく出来た圏央道から牛久大仏が見えたり、
若葉の香りがいっぱいの道、心が広がっていくようでした。
そうそう、笠間は焼き物の町だったのですね。
陶芸屋さんがたくさんありました。

翌日は、横浜での仕事の前に桜木町のお不動さまへ。
お不動さまには、弁財天の池もあり、亀が30匹!ぐらいいます。
そこから、野毛、吉田町、伊勢佐木町と、みなとみらいの裏道?を歩きました。

笠間稲荷のおみくじが凶・・・
お不動さまのおみくじが大吉。
さて、どっちにころがる?





2017年4月10日月曜日

桜満開

風が吹くと、桜の花のいくつかが笑うように動きます。
もっと風が吹くと、もっと沢山の桜が笑います。

家の近くの日蓮宗のお寺は、荒行で有名な中山法華経寺と2キロほどの距離。
その2キロの距離を隔て、読経の声が聞こえたという名僧の話が残るお寺です。
桜が満開、満々開!
一緒に暮らしていた義理の父はこのお寺の枝垂桜を毎年楽しみにしていました。
96才まで一人で歩いて見に行っていました。
残念ながら今日、枝垂桜はもう葉桜になっていましたが。

家では先日娘がもらってきた小さな桜の鉢植えがやはり満開でした。
 花びらが散り五片になる桜   三紀
それは、それは、小さな花びらでした。
どこかに植えようか。

4月30日の、新作「鯉魚」岡本かの子作 は
禅寺の沙弥 昭青年と、その青年を取り巻く人々の話です。
文章は出来た、次は、曲・・。曲は出来た、次は、表現、セリフ。
次は、次は・・。
いつまでたっても完成はない。
でも、それが創作の面白さかもしれませんね。
 4月30日 原宿アコスタディオ 12時からと16時半から
 田原師匠と6人の弟子の創作琵琶琵琶弾き語り「糸遊び」
 で初演予定です。

桜花いのちいっぱい咲くからにいのちをかけて我眺めたり。 岡本かの子



2017年3月13日月曜日

ここは河原の土手。向こう側は川です。晴れていると、夕日のそばに富士山が見えます。
此の川ははぜつりのメッカで、釣り舟屋さんがぽつぽつとあります。
電車の乗って此の川を見る夕暮れ時が好き。
小さな船が、静かに浮かぶ。浮世絵のように、美しいです。
昔は、塩田や、蓮田が多いところだったようです。
随分前、ここから舟にのって、太刀魚を釣りに東京湾へ出たことがありました。
のこぎりのように長く銀色の腹を見せて、動く太刀魚。
最初で、多分最後かも。
夕方に、此の川にたどりつき、いつも歩いている川の土手を川の方から見たとき、
不思議な感覚がしました。
こちら側の世界。あちら側の世界、という感じかな。
悩んだり、あせったり、泣いたり、悔しがったり、笑ったり、喜んだり、
反対の世界から見たら、きっとそんなことがとても懐かしくて、
幸せなことなんだろう。
今年も3月11日が過ぎ、あの時、感じたように、しっかりと生きなくては。
ともう一度思います。琵琶も、創作も。
一つ一つの作品を丁寧に、創って行かなくては、と。

今は岡本かの子、第三弾、鯉魚(りぎょ)を創作中です。
初演予定は4月30日、原宿アコスタジオ 糸遊びで。

大海洋の果ての果てなる天心か地軸に川がいのちかかれる
(岡本かの子)

2017年2月19日日曜日

袖振れし

袖振れし 人こそ見えね花の香の それかと匂ふ 春のあけぼの

梅が美しい時です。
梅は先駆けて咲き、花々が咲き乱れる頃、いち早く実をつけて、にっこり微笑んでいるという歌、中国の詩のようですが、梅が好きです。

上の和歌は源氏物語の浮舟の巻から。
2月に玉川学園のカフェで「浮舟」を横田桂子さんとご一緒に琵琶語りをしました。
薫と匂宮、の二人に想われ迷い、川に身をなげるも助けられ出家する浮舟。
出家し仏さまへと梅の枝を折ると、梅の香がほのかに匂う。
その香りに、昔、想ってくれた人を思い出すという、歌です。
今回創作して、源氏物語には催馬楽という歌が多く出てくることを
知ることが出来たのも発見でした。
催馬楽とはその頃の民謡のようなもの。

源氏の中の催馬楽に梅を歌ったものも。

梅が枝に来居るうぐいすや 春かけてはれ
春かけて鳴けども いまだや 雪は降りつつ。
あはれそこよしや 雪は降りつつ。

美しい源氏の世界です.
ままだまだ寒い日もありそうです。
お身体に気を付けて。

2017年1月21日土曜日

今年もよろしくお願いします!

あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします^^

お正月、横浜の実家から眺めた空に、鳥の飛ぶ姿・・。
酉年、幸先がいいでしょうか。
夕方には、富士山が姿を現しました。
この近くに白龍弁財天のあるお寺があります。
嵐の走水の海で、ヤマトタケルを救うために海に身を投げた
オトタチバナヒメのの像があります。
タケルは亡くなった時、白鳥になりました。
その白鳥がやってきたようです。
走水の海を眺めに来たのかな。

さあ、いよいよ。

1月29日は師匠の会、聚の会 (墨田トリュフォ二―ホール)
2月2日、玉川学園前、喫茶うぃすかあ 源氏物語 浮舟
2月9日、元町、霧笛楼
2月10日、三人弁天 (浅草大黒家) 義太夫と琵琶
2月12日、大和、極楽寺。

私は出演しませんが、1月29日は、横浜市ミュージカル、お三、が関内大ホールであります。
(赤い靴記念文化事業団主催)

今年もみんなで羽ばたいていきましょう。